日英両政府は次世代エネルギーとして期待される核融合発電の技術開発で協力する覚書を交わす。
核融合炉の保守作業に必要な英国の遠隔操作ロボットの技術と、日本のものづくり技術などを組み合わせ、2030年代の発電の実証につなげる。
文部科学省の増子宏文科審議官と英国で気候変動対策を担うマッカーシー閣外相が19日にロンドンで会談して署名する。
研究開発や施設の相互利用、安全規制の枠組み、人材育成で協力する。日英の業界団体間でも覚書をまとめる調整をしている。
日本は4日に改定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」に「世界に先駆けた30年代の発電実証」を掲げた。
改定後の最初の協力相手に英国を選び、開発を急ぐ。
同戦略の改定を主導した城内実科学技術相が4月の訪英時に連携強化を協議していた。
日本がとりわけ期待するのは英国が強みをもつ炉の管理ノウハウだ。
原子核同士の結合がエネルギーを生む核融合は、燃料の重水素などが海水中に豊富に存在し、温暖化ガスの排出のない「夢のエネルギー」と呼ばれる。
反応で炉壁が損耗するため定期的な保守が欠かせず、遠隔操作ロボットが必要になる。
英国は核融合の研究施設の保守に遠隔操作ロボットを使ってきた。この分野で世界の最先端を走る。
東京電力福島第1原発の廃炉に使う遠隔ロボットにも協力している。
英国は実験炉より進んだ原型炉を40年までに石炭火力発電所の跡地に建設する計画だ。
11日には推進のため25億ポンド(約4900億円)の追加拠出を発表した。
日本の素材や部品、エンジニアリングなどの技術を取り込んで開発を加速させる。

核融合は米英中や欧州連合(EU)、日本がしのぎを削る。中国は莫大な資金を投じて27年の実験炉完成やその後の実証をめざす。
米国では複数の異なる型式の開発が進む。
日本は日米とEU、韓国、インド、中国、ロシアの7カ国・地域による国際熱核融合実験炉(ITER)を国際協力の軸にしてきたが、部品の不具合などで遅れる。
英国との覚書は連携の選択肢を広げる狙いもある。米国とも24年に2国間の共同声明をまとめた。
データセンターの設置や人工知能(AI)の普及に伴い、世界的に電力の需要が拡大している。
核融合発電を早期に実用化する必要性が高まっている。
(ロンドン=江渕智弘、今尾龍仁、蓑輪星使)
日経記事2025.6.16より引用
(関連情報)
・日英、核融合発電の実用化へ覚書 英国の遠隔ロボ技術活用(日経2025.6.16)
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